俺の事好き? あ?好きじゃねーよ(チュツ)
初恋の70%は、
著者:山中ひこ
無料立ち読みもあるよ
何でもそつなくこなすモテ男の春日部は、陸上部の杉山のひたむきに走る姿を目で追ううちに興味を覚え、妄想の中で彼にいやらしいことをするようになってゆく。仲良くなりたいのに話しかけることもできないでいたある日、文化祭の実行委員会で杉山と一緒になるが……? 高校生同士のもどかしい恋を集めたデビュー・コミックス!!(公式紹介文より)
表題作品二話+短編二話。
まずは表題作品から。もうねあうぅぅぅぅぅぅっとかぐごォォォォォォとか、悶えちゃうくらい可愛い。女に不自由もしたことない世渡り上手の春日部クンが陸上部男子の杉山クンに惚れてしまいジタバタしているのがいじらしくて応援しちゃいたくなる。
話しかけたくて、でも全く接点がなくって話しかけれなくて、片思いもじもじもじもじ
悩める少年、春日部クン
俺はこの世で一番ちっぽけな男だ
男に声の一つもかけられない男…
虫ケラだ、ゴミだ
生きてる価値ねー
いや、少年よ、悩み過ぎだっつーの(笑)
なんていうか…ぴゅあ?モテ男だったはずの春日部クンの一途さがぴゅあ。
しかぁし、神は見捨てていなかった。文化祭実行委員で偶然にも一緒になり2人きりの美術担当でお近づきのチャンスを得る。
しかも、ズケズケ意見を言う杉山クンに同じ文化祭委員の女子は冷たい視線を送る。その様子にぞくぞく悶える春日部クン
…嬉しい…!!
俺の好きな男が女子共に嫌われていく…!!
部活一筋でぶっきらぼうでマイペースな杉山クン。顔なじみになると肩に手を置いてきたりとスキンシップが近い近いっ。ツンデレで強気でベタベタな杉山クン、春日部はもうドギマギしちゃってプチパニック!
印象的だったのは、インターハイに出るくらい実力のある杉山クンが記録が伸びなくて落ち込んで愚痴っているときに、モテ男の直感が閃く。つけ込むなら今だと。今まで女子をそうタラし込んできたように…
耳障りのいい優しい言葉をかけてやって
頭の一つでもなでてやって
優しく…
でも、春日部クンは…突き放すようあえてキツイ言葉を投げる
春日部の台詞
今更泣きごと言うなよ
ライトもねェグランドで、毎晩走ってインハイ出たんだろ
走れっつーの
ドキュぅぅぅぅっっン!
やべぇ、男子高校生に撃ち抜かれたわぁ。
まぁ、色々あって、春日部の想いが伝わり何となく付き合う感じで終った一話目。
そして、さらなるお勧めが二話目なんです。(たぶん)お付き合いして3ヶ月目、杉山クンが見たいと言うエイリアン3のDVDをエサに部屋に連れ込んだ春日部クン。
ちょっと、最近色々と思うことありな春日部クンの心の声が最高に可愛いのだ。
春日部クンの心の声 杉山からキスされたこととかねぇし。
(杉山からくっついてきたら、すかさずこっちからする)
そもそも声を大にして聞きたいんだけどさぁ
杉山、お前、俺のこと好き?
ちょっ、心の声なのに肝心なセリフがちっちゃくて読めないんだけど、こんな演出、微笑ましい、山中ヒコ先生に座布団一枚っ!
割と春日部クン寄りの目線で解説してまいりましたが、ここからはツンデレ強気な杉山クンの天然悪魔ぶりをご覧ください。部屋に連れ込んでベッドに押し倒してみたら、その慣れた手つきにヘソを曲げ睨みつけてきた杉山クン。甘い雰囲気にならず、不安になった春日部クンが思わずあの疑問を口にする。
春日部「…杉山…‥俺のこと…好き?」
杉山「あ?好きじゃねーよ」ちゅっ💋
春日部「…んなこと言って…ほんとは好き?」
杉山「あ?好きじゃねーってんだろ。しつけーな」ちゅっ💋
これがツンデレなんでございますね。まさに超ツンデレっ!
もう、こんなあんなやりとりが微笑ましくイイ!
部活に文化祭にと、高校生高校生しているんだけど、ギャップよりも、甘酸っぱい懐かしさの方が押し寄せてきて、何度も噛み締めたくなるお話でした。
ほかの短編二話も高校生モノ、さらっと読めて。あの子もこの子もみんなみんな、ギュッと抱きしめたくなる。
バスでじっと片思いの相手をただ見つめる男子、その片思いごと好きになった男子の話もキュンきました。
ずっと前から行田さんの恋は俺の恋になっていたんだ。
その子の失恋の瞬間にも立ち会っちゃって、おもわずほとんど面識がないのにとっさに「今日、学校サボりませんか」と誘ってしまい、なぜかホテルへ行くことになっちゃう奇想天外な短編。こちらも素敵でした。
この本がデビュー作とのことですが、すでに山中ヒコ・ワールドが出来上がっていますね。
以前こちらを紹介しましたが、高校生じゃないお話も読み応えありました。
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ケロ自身、まだ山中ヒロ作品二冊しか読んでいませんが、ちょっとはまってきました。絵は書き込む感じじゃなくって、ゆる~い作風なんだけど、なんか魅入られてしまう。まだまだ他も吟味したいです。
様々な男子高校生の恋愛模様。校庭を走る想い人を、校舎の窓から見下ろす胸の高まり、そんなドキドキを懐かしく味わってみたい方にお勧めしたい一冊です。