ひたすらに泣ける！上級者腐女子向け
COLD SLEEP
著者：麻生ミツ晃 原作：木原音瀬
無料立ち読みもあるよ
あんなに優しくしてくれた人間をあいつ以外に知らない
事故により記憶喪失になった透は、見守り続けてくれていた義理の兄である藤島と、困難の末、恋人同士になった。ようやく味わえた甘く充実した日々。――6年後のある朝、透は突然に過去の記憶を取り戻す。6年間の幸福な記憶と引き換えに…。またしても引き裂かれる透と藤島は…。人間の強さ、感情の美しさを教えてくれるビッグシリーズ
sleep、light、feverと三部作になっています。いわゆる三巻完結。
あの、最終の3巻目のfeverですが、ケロ良く知らず、いきなり三巻目から読んじまったんですよ。
一番奈落の底に落ちる三巻から・・
こんなに濃い一冊を久々に見たね。
あまりのハードさに泣きベソかきながら読んだけど、このあと、奈落に落ちる前の二人を、時間を遡って一巻二巻と見ていくのが、辛すぎた（涙）泣ける！とかの次元を通り越しております。
心臓がさぁ、鷲掴みにされるわけですわ。
記憶を無くした透と藤島が、暗い過去のしがらみに鍵をかけて愛を育んでいく、これが一部sleep、二部light。
突然の朝、記憶を取り戻した透。記憶を無くしたあとの6年間は逆に全く抜け落ちて。ずっとずっと大切に愛していた恋人は、人生で一番憎むべき対象に。これが三部fever。
記憶を無くした透が藤島に恋をした、愛し始めたた、求め渇望した。
藤島の台詞（抜粋）
恋人にはなれない
言っただろう、僕は君に嫌われていたんだ
記憶が戻ったとき
軽蔑されるのが嫌だ
君に捨てられるのが怖い…
それなら初めから何もない方がいい…
僕は思い出なんて欲しくない
僕は…君に愛される幸せな記憶が怖い…
透の台詞（抜粋）
じゃあ…
よかった
記憶…
なくして
よかった
藤島さんが嫌いな自分を
全部忘れてよかった
だけどそんな葛藤がありながらも6年もかけて、育てた二人の愛がさ、ある日目が覚めたら記憶のカケラもないの。性格まで、負の生い立ちで積み上げた、優しさのかけらもない透に変わっていた。
記憶が戻った透の台詞（抜粋）
お前、俺に何をした…
何て言って近づいた…
優しい顔で優しいふりして…
何も覚えていない俺を
丸めこんでだまして…
好きに体を弄って…
記憶が戻ったら捨てた
また、俺を裏切った…っ
嘘つきの偽善者が
ねぇ、どこいったの？
藤島を愛してた優しい無邪気な透、どこいったの？
ハッキリ言います。三部feverは凄惨を極めます。このブログ始めて初めてつかった、「凄惨」なんて言葉をさ。
荒れる透に暴力すら受ける藤島。
暴力といえば、例えば、はらだ先生の【よるとあさの歌】にも、強烈な暴力シーンがありますが、ヤクザの他人からの暴力ではなく、昨日まで自分を愛していると、囁いていた恋人からの暴力なんですよ。
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突然20歳から26歳になってしまった透の混乱と葛藤は、もともと愛を知らずに育った歪んだ人格に負の拍車をかける。全ての怒りがそれでも決して見捨てないでいてくれている藤島へ向かう。
ページをめくる(電子だけど)指が震えたね。
読むのを躊躇いながらもやめられない！
でもね、最後は暗闇に一条の光が差し込むような、そんなラストなんです。
金色の一本の蜘蛛の糸のような儚い希望が、すっと降りてくるような、そんな切ないラスト。
それだから、この後の二人がさぁ、再び惹かれ合い熱をはらんだ二人がさぁ、
見たいよぅぅぅっ。（麻生ミツ晃先生に土下座の願い）
記憶喪失もの、ある意味、よくある王道設定。しかし、ここまで練り込んだ設定があるだろうか。
もともとは木原音瀬さんの小説を原作にしており、そちらが凄い人気だったようです。そこから麻生ミツ晃先生のコミックに流れてきた文学腐女子の皆様が、小説の世界観を崩さない絵柄とストーリーだと、沢山のお墨付きをくださっています。
心が痛くなる、まさにこの一言に尽きます。
今思うと、最終章のfeverから読むはありでしたわ。真似してみてもいいよ！
でも、sleep、light、feverの全てを読まないといけない。それは必須！
泣いてもいい！それも深く胸をえぐるような衝撃が欲しい！
暗いシーンも覚悟がある！
という、上級者腐女子の皆様。
ぜひダイブしてください。何度も何度も噛みしめて読み直す作品になります。これは人生の出会いです。わたくしケロは、こういった作品を紹介できることを嬉しく思います。