大人だもん。作者買いで何が悪い
求めてやまない
まさお三月
立ち読みもあるよ
円谷(つぶらや)が勤めるカフェに来るようになった横柄で傲慢な男・辰巳(たつみ)。単なる客と店員だったはずが、ひょんなことから円谷は辰巳の家に出入りすることになる。二人で過ごすうち辰巳の素顔を知り、彼に“ある感情”を持ち始めてしまう円谷だが……?
無条件で特定の作家であれば多くを確認せずとにかく買っちゃう。
これを作者買いといいまする。
よっぽどお気に入りで、かつ信頼関係が無くては出来ぬ読者と作家の絆。
まさお三月さん、数少ないケロのお気に入りの作家さんの一人です。
この方の作品をこれからもいくつか紹介していくとは思いますが、今回は特にお気に入りを投下(どど~ん)
この作家さんは変わり者を描くのがとてもお上手。
唯一無二の独特な雰囲気。LOVEです。
社会性が欠けて孤独な男と、羽目を外すこともない穏やかなシェフ。
幼い頃から人との距離感や力加減がわからず、人間関係を諦めてしまった辰巳。
人間関係はそつなくこなすが、物に執着しない淡々とした円谷。
「腹にたまるものをくれ」「にんじんは嫌いだ」
態度がでかくてわがままで横柄な客。嫌なやつと思いきや、すっかり円谷のごはんに飼いならされてしまい…。
男を掴むには胃袋からと申しますが、すっかり墜ちております。
プライベートで食事を作らされるはめになり、当たり前に食べ始めようとした辰巳に「いただきます」を教える円谷の世話女房振りが甲斐甲斐しい。
そこにこっそりとニンジンをすりおろすあたりがお約束でございます。
不器用なのは乱暴ものの辰巳かと思いきや、子供の頃からあまりにも物分りがよすぎる円谷も周りの大人は実は心配していた。
感情を出さないタイプの円谷が、辰巳に振り回されているうちに、どんどん感情が豊かになっていくさまがいいです。
そして、常識とやらをレクチャーしていくうちにすっかり自分にだけくつろいだ様子を見せる辰巳に惹かれていく。
円谷の心の中のつぶやきより抜粋
大きな身体に腕力に
威圧的な態度と
常識知らずな言動と
きっと誰も知らない
この鎧の下の柔らかい内側を
誕生日に何が欲しいと問われ、しばらく考えて気付いた。
そうか、これが「欲しい」ということか。
このひとが「欲しい」。
この後のキスシーンが、抱擁が、絶品(鼻息)
いいなぁ、不器用な2人の初恋のような始まり。
円谷の心の中のつぶやき抜粋
こんな感情知らないままでよかった
めんどくさくて
自分でも制御できなくて
今すぐ捨ててしまいたいのに
捨て方がわからない
一冊丸ごと表題作なので、ゆっくり動く心のゆれ加減をたっぷりと堪能できます。
群を抜いて変人の辰巳が、恋に墜ちて、触れて、諭されて、いい男に成長していくさまが♥︎キュンキュン♥︎します。
不器用な男2人がお互いを補い合って愛を育んでいく。
初恋なんだ、なんて台詞はないのだけど、初恋のあのなんともいえないすっぱい雰囲気がただよっているのでございます。
初恋なんだな~うんうん、と、勝手に思いながら読んで盛り上がるケロ。
この作者さんのほかの作品もそうなんですが、とにかくね、変人でひねくれたキャラが多い。愛おしい変人のオンパレード。でもそれを面白く、切なく、さらにギャグのセンスも盛り込んで描いていく。
好きだ~。はよ、おかわりくれ!!!
え、読んだことないの?まじで?
人生損してます、BL読むのにまさお三月を知らないなんてっ。
でも大丈夫。時間はたっぷりありますことよ。
はまること間違いなし。
だって、ほら証拠に…扉絵見た?
素敵でしょ。
タイトルもセンスあるよねぇ。
さらにケロがお勧めするんですもの。悪くないと思うよ。
数えてみたら11冊っす、この作者さんの本持っているの。
電子本全部です~それくらいいいって事。
でも、まぁ好みもあるしね。
ちょっと癖のある独特なキャラを読みたい方は一度お試しあれ。