山岸凉子 日出処の天子

日出処の天子★感想★語り継がれる傑作

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時代を経ても輝きを失わない名作

遂にこの傑作を紹介する日が来ました。あまり深く考えず立ち上げた感想ブログでしたが、こちらの作品をいつか取り上げることが、潜在的な目標だった気が致します。

日出処の天子』著者:山岸凉子。1980年代前半にあまりにもセンセーショナルな作品かとは思いますが、講談社漫画賞少女部門を受賞した背景を考えれば、心を打つ作品は、BL要素があろうと、いつの時代であろうと、支持されるということでしょうか。

日出処の天子でググってみると、今なお作品に対してリアルに熱く感想を語り合っている掲示板などもあり、男子のファンもいて、まだまだ忘れられた過去の作品といった様子はありません。

東京・弥生美術館で2016年から開催した展覧会は東京、京都で開催され、今尚その存在感を見せつけてくれます。

35年近く経っているというのに。すごすぎる。ここまですごい作品でありながらも、電子書籍化してないこともあり、若い方に知らない方も多いのでは。

前に持っていた単行本は誰かに貸してどこかにいってしまった事もあり、古本で全巻再度ゲット(2000円也)しました。

何から語り始めたら良いのでしょう。ここまでの軌跡を残せるBL漫画が他にあるのでしょうか。

ただ一言、別格。神がかった作品。そう、華麗で妖艶なる美童、後の聖徳太子である厩戸王子を主人公とし、数々の逸話や、歴史を絡めた、壮大な物語なのです。

久しぶりに、この作品を全七巻読み返し、魂を抜かれたような虚脱感。心をえぐられるような胸の痛み。廐戸王子の毒気に侵され目眩がいたします。

ケロは再びの感動を噛み締め、あふれんばかりの様々な感情のやり場に立ち尽くしてしまいました。

そしてふと思い立った計画に心ときめきました。

そうだ、日出処の天子を巡る旅に出よう!

先日行ってまいりました。えぇ飛行機に乗って。

舞台となった斑鳩の地は法隆寺を抱き、今なお廐戸王子を生活の一部として町があるという雰囲気でした。

旅行記については次回お披露目したいと思います。漫画のシーンと照らし合わせながら辿った寺院巡り、最高でした。

さて、話を作品紹介に戻しましょう。これは悲恋です。ラブラブハッピーエンドなんかではありません。しかも、作品では匂わすだけではっきりと描かれていないその後の厩戸王子の子孫、上宮王家と蘇我氏の歴史は救いようもないほどの破滅です。

美しく、哀しく、孤独で…だからこそ、その刹那を愛おしく抱きしめたくなる、廐戸王子と蘇我毛人の若かりし日々。

最初に恋をしたのは毛人(えみし)だった。むろん、水浴びをしている王子を女童(めのわらわ)と勘違いしての事だったが。

王子が男と認識した後でもたびたび、不思議な気持ちが湧いてくることを意識はしていたのだけれども、それを否定してみたり、流されてみたりと、定まらない感情に揺り動かされるまま年月を重ねた。

そして再び、宴で姫の中にひとり惹きつけられる女性を見つけ釘付けになるのだが、それも節会に王子が踊るというしきたりで女装した厩戸王子だった。

毛人のとまどい

あのように心騒ぐ女性にはじめて会った…と、そう思ったら
またも厩戸王子だっとたは…
どうしたらいいのだ

そう、わたしはあの方に魅せられるのだ
あらゆる意味で

二人で時間を重ねるごとに厩戸王子も気付く、毛人は己の力が効かない特別な存在で、己が人間らしくいる為に、奥深い根源的なところで必要としている鍵は毛人なのだと。

厩戸王子の特殊な能力、母親ですら忌み嫌い曲々しいものとされたその力を、毛人は恐れることはあったが受け入れ、時には増幅する為の手助けをしてくれた。

魂が惹かれあう二人。

しかし、小石がひとつ二人の間に放たれたのだ。毛人の運命の女性「布都姫」という波紋が。

布都姫に出会って、毛人は王子への想いはやはりただの子供っぽい独占欲だったのだと思うようになり、気持ちは布都姫に傾いていく。

毛人の心が離れていって、王子は自分の「ばかげた」と言いたくなる気持ちにいっそう翻弄される。

厩戸王子のとまどい

消すのだ、こんな感情は押し殺してしまえ。押し殺して…だめだ、何とかせねば。わたしの息ができぬ。何とかせねば。

しかし、厩戸王子の画策で布都姫は大王へと無理やり嫁がされる。「わたしに布都姫をくださいと」唯一の願い事として懇願した毛人だが王子に受け入れられず、毛人は傷つき、二人の間に亀裂が入ったかと思われたが、布都姫を諦めるしかなかった毛人の心はまたいつしか王子に惹きつけられるようになる。

そして、厩戸王子暗殺のために押し入ってきた賊から王子を守る為、狭い床下に二人で身体を寄せ合い息を潜めているその時、王子の告白に反応し、初めて毛人は自分の意思で王子を抱き寄せてしまう。

しかしその後、崇峻天皇が宮中クーデターにより倒されたことで、また二人の間に「布都姫」の存在が波紋を広げることに。

王子の苦悩

今この手に掴んだと思った光が射干玉(ぬばたま)の闇に変わる。
他の女ならばこれほど毛人の全身全霊をわたしから引き離しはしないものを!
なぜあの女に限ってこんなにも毛人の全てを奪ってしまうのか。

憎い!この世の誰よりもあの女が憎い!
毛人わたしはそなたを誰にもやらぬ
この手で
この指で
あの女の息の根を止めてしまおう

そして物語のクライマックスは二人が初めて出会った夜刀の池で再び…

さあ、この物語の全貌は、あなた自身の目でご確認くださいませ。

この作品を読んだあとこれから先、日出処の天子、聖徳太子と言う言葉を聴いたなら、間違いなくあなたの脳裏をに浮かぶのは、この妖艶なる厩戸王子になることでしょう。

母が大切にしまっていたこの本を、娘が引き継いだという話しさえ珍しくないこの作品。いつの時代にも厩戸王子は永遠のときめきと胸の痛みを、女子の心に刻み込んでいくのです。
色褪せない名作、傑作「日出処の天子」どうぞ夢のひと時を。

 

さあ、旅にでるよ!!!

日出処の天子(山岸涼子)を巡る旅

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